ニホントカゲの飼育方法2通りを解説!飼育用品の違いと利点欠点
こんにちは! 館長のゆるとです!
この記事では、ニホントカゲ飼育について解説します。
- ニホントカゲ、ヒガシニホントカゲの生態と飼育環境について
- 屋内飼育、戸外飼育の特徴とそれぞれのメリット、デメリット
- 屋内、戸外ごとの飼育方法と必要な物
- エサの種類と与え方、飼育の注意点 ・・・など
ニホントカゲに興味がある、飼育したい方は、ぜひ最後までお読みください。
それでは行ってみましょう!
ニホントカゲ、ヒガシニホントカゲの生態
子供(左側) | 大人(右側) |
分類・・・爬虫網、有鱗目、トカゲ科
分布・・・北海道、本州、四国、九州
体長・・・15㎝~25㎝、体長の6割ほどが尻尾
活動時期・・・4月〜10月、気温が下がる11月〜3月は冬眠する
エサ・・・昆虫、クモ、ミミズ、ワラジムシ、など
寿命・・・野生下では5年~6年、飼育下では10年以上長生きする
生息環境・・・山地、森林、平野部の開けた日当たりのよい場所
繁殖期・・・4月〜5月、卵は7月ごろにふ化する
琵琶湖を境目に、東側の本州、北海道にはヒガシニホントカゲが生息。西側の本州、九州にはニホントカゲが生息している。外見、生態、習性がほとんど同じで見分けるのは難しいが、遺伝子的には別の種類。この記事ではまとめてニホントカゲとして解説します。
暖かい気候を好み、日光浴を良く行う。石の隙間や土に穴を掘り、地中で生活しているトカゲ。天敵に襲われると尻尾を自分で切り離して逃げる。子供と大人で体の色が変わる。
ニホントカゲの習性と生息環境
飼育する際は、ニホントカゲの習性を理解し、野生環境に近い状態を再現することが大切です。
ニホントカゲの習性
- 基本的に生きたエサを食べる
- 日光浴によって体温調節と必要な栄養分を作る
- 穴を掘って地中に巣を作る
- 1日のほとんどを土の中で過ごす
生息環境の特徴
- 土が柔らかく、穴が掘りやすい環境
- 日当たりが良く、日光浴する場所がある
- 適度に湿り気がある場所
これらの点を参考に、飼育ケージをレイアウトすると良いでしょう。
飼育方法は大きく2種類ある
屋内飼育と戸外飼育の違い
大きく分けると、「育てやすさ」「飼育費用」「人なれし易さ」「冬の飼育方法」などが違ってきます。
屋内飼育はその名の通り、家の中で飼育する方法です。
戸外飼育は、玄関や軒先など家の外で飼育する方法です。
屋内飼育のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
雨による浸水、直射日光による熱射病など、天気や外気温の影響を気にしなくていい | 温度調節や日光浴のための機材が必要でお金がかかる |
飼育ケースの異変や、環境の変化を発見しやすい | トカゲの生活リズムをつかむまで、飼育機材の調節や設定に苦労する |
1年中トカゲと触れ合うことができ、冬眠失敗のリスクがない | ニホントカゲは神経質なので、人に慣れるまで強いストレスがかかる |
戸外飼育より圧倒的に人なれし易い | 冬場のエサの管理が大変 |
戸外飼育のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
飼育に必要な道具が少なく、低予算で飼育できる | 冬の間はトカゲと触れ合うことができない |
冬場はエサの心配をしなくてよい | 冬眠失敗で死亡するリスクがある |
本来の日光浴ができるため、日光不足による体調不良が起きにくい | 雨による浸水、熱射病、などの天気対策が必要 |
自然の環境に近く、静かな時間が多いためトカゲのストレスが少ない | 外気温が変化するので、季節ごとに飼育方法の微調整が必要 |
飼育に必要な物
屋内飼育・戸外飼育ともに、最低限必要な飼育用品です。
飼育ケージ以外は、ほとんどが100円ショップで揃えられます。
飼育ケージ
1頭だけの飼育でも、最低30㎝以上の飼育ケージが必要です。
飼育ケージには、水入れ、日光浴する場所、エサ入れ、を設置することを計算しましょう。
また、脱走防止のために必ず蓋を用意しましょう。
熱こもりや蒸れを防止するために、100円ショップなどで売っているステンレスの金網などがおすすめです。
床材
黒土、爬虫類用のソイル、腐葉土、など保水性があり、柔らかく掘りやすい土が適しています。
また軽石などを底に敷くことで、用土の水はけや通気性をよくして、腐敗菌の増殖を防止できます。
ヤシガラマットなど、細かい繊維状の床材などは、トカゲの呼吸器官に詰まることがあるので避けましょう。
水場
トカゲの飲み水兼、お風呂です。
100円ショップの小皿など、ジャムの蓋ほどの大きさがあれば十分です。
日光浴する場所
材質は、石、レンガ、流木、などで、トカゲが日光浴できる大きさの物を用意しましょう。
爬虫類飼育ではバスキングスポットと呼ばれています。
隠れ家
木の皮、落ち葉、などすぐに隠れられるものがおすすめです。穴を掘って巣穴を作ることが多いため、ドームの様な空間が広い物よりも滑り込みやすいものが良いでしょう。
形や材質によっては、バスキングスポットとしても使用できます。
温度計・湿度計
屋内飼育の場合は必須アイテムです。
特に秋冬は、飼育ケージの温度が15度以下にならないように注意しましょう。
屋外飼育の場合は、外気温の変化を確認し、熱中症に注意しましょう。
霧吹き・ピンセット
床材の湿度管理、エサやりのために必要です。
ピンセットは木製のものを使うとトカゲのケガ防止になります。
エサ入れ
コオロギなど生きたエサを入れるので、数センチの深さがあるツルツルした素材がおすすめです。
エサについて
エサの種類
大きく分けると、生餌、冷凍した昆虫、人工飼料、があります。
が、基本的には生きたエサしか食べません。
冷凍したエサや人工飼料は好き嫌いが分かれ、全く受け付けない個体もいます。
生餌は、コオロギなど小さな昆虫、クモ、ミミズ、ワラジムシなどを良く食べます。
入手方法は、自然から採取する、ペットショップで購入、ネット通販で購入などがあります。
長年ニホントカゲを飼育している方は、コオロギなどのエサ用昆虫を繁殖させて、エサにすることが多いようです。また、トカゲ飼育には必須のカルシウムがとても豊富な、ワラジムシもおすすめです。
エサ用昆虫について、詳しくはこちらの記事を参考にどうぞ「エサ用昆虫、ヨーロッパイエコオロギの飼育方法と注意点!」
エサの与え方
初めのうちは、エサ入れに虫を入れて放置する、「置きエサ」で様子を見ましょう。
人間に慣れてきたら、ピンセットで与えるとよいでしょう。エサやりは、2〜3日に1回ほどの頻度です。
初めは数匹のエサを入れて観察し、食べる量と食事間隔をつかんでみてください。
与えるエサの大きさは、トカゲの頭の半分ほどが目安です。
カルシウムパウダーについて(ダスティング)
トカゲにとってカルシウムは非常に重要な栄養素です。
不足するとクル病という骨の病気にかかり、背骨の変形、歩行困難、代謝不全などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることがあります。
エサは昆虫を主食にすることが多いですが、昆虫のみを与えているとカルシウム不足になります。
そこで、カルシウムパウダーやビタミン剤などのサプリをエサに振りかけて与える方法で飼育します。粉を振りかけることから、ダスティングと言われています。
ワラジムシなどの甲殻類はカルシウムが豊富ですが、カロリーが少ないため主食にすることはおすすめしません。
サプリについて、詳しくはこちらの記事を参考にどうぞ「ダスティングってなに?」爬虫類・両生類飼育に必須のサプリ事情を徹底解説「ガットローディングとは?」
屋内飼育は必須、ライト類について
トカゲにとって日光浴は大変重要な行動です。屋内飼育ではライト類を設置して日光浴を再現します。
飼育ケース全体をライトで照らすのではなく、石、レンガ、木の枝、など日光浴する場所だけを照らします。
トカゲなどが日光浴する場所を、バスキングスポットと呼びます。
ライトには大きく2種類あり、体を温めるバスキングライト、紫外線を出す紫外線ライトがあります。
紫外線は、窓ガラスや飼育ケースがガラスの場合遮られてしまうため、直接紫外線ライトの光が飼育ケース内に当たるよう調節しましょう。
バスキングライト | 紫外線ライト |
照らした部分を温める | 照らした部分に紫外線を出す。熱は出さない |
体内時計のリセット、体温調節、内臓の代謝を高めて消化を助ける効果がある | 細胞の活性化、体内でビタミンを作るために必要、食欲促進、などの効果がある。 |
飼育ケージの大きさに応じてW(ワット)数を選ぶ | W(ワット)数は関係なく、UVBという種類の紫外線がどのくらい含まれているかで選ぶ |
バスキングライトは温めることが目的なので、飼育ケージやバスキングスポットを十分温められるW数を選びましょう。
紫外線ライトはトカゲの体内でビタミンを作ることが目的なので、必ず爬虫類用の紫外線ライトで、UVBという種類の光を出すものを選び、紫外線の強さが5.0と記載されているものを選びましょう。
UVBはトカゲがカルシウムを吸収するために必要な、ビタミンD3を作るために必須です。不足すると命にかかわるクル病にかかります。紫外線量が記載されていない場合は、一般的な爬虫類用、と書かれたものでもOKです。
ライト類について、詳しくはこちらの記事を参考にどうぞ。
【カナヘビ飼育】必要なライトは何種類?選び方やW数の目安、使い方や設置方法も解説!
【日本産トカゲ飼育】おすすめライト6選!口コミまとめや便利な周辺機器も紹介!
飼育方法と日々のお世話
屋内飼育の場合
1.飼育ケースに軽石などを敷き、用土を入れる。深さは5㎝程度
2.水場、バスキングスポット、エサ入れ、隠れ家、をお好みのレイアウトで設置します。
水場や隠れ家は熱くなりすぎないように、バスキングスポットと距離を置くとよいでしょう。
3.バスキングライト、紫外線ライトを設置。
バスキングスポットだけを照らすようにセッティングしましょう。
4.直射日光が当たる場所を避けて飼育ケースを設置。
トカゲは上からの視線に恐怖を感じるので、設置場所は人間と目線が合う高さが理想です。
5.温度計をバスキングスポット、生活スペースに取り付け、ニホントカゲを入れて完成! 蓋は忘れずに設置しましょう。
飼育温度・・・ニホントカゲが最も活発になるのは27℃前後です。ヒーターやバスキングライトで温度調節しましょう。
ライト類で照らす時間・・・8時間~12時間を目安につけておきましょう。バスキングスポットの温度は35℃程度が目安です。
体内時計をリセットする役割もあるので、日が暮れる時間には消す、夜の間つけっぱなしにしない、朝のうちから点ける、などを意識するとよいでしょう。
ライト類に、タイマーやサーモスタットを組み合わせれば自動でオン・オフしてくれるので便利です。
戸外飼育の場合
1.飼育ケージに軽石などを敷き、用土を入れる。土は8㎝~10㎝程度入れる。
2.水場、エサ入れ、バスキングスポット、隠れ家をお好みのセッティングで配置する。
水場と隠れ家は直射日光が当たらない場所に設置しましょう。夏場などは水が熱湯になります。
3.飼育ケージは明るい日陰、もしくはケージの1/3ほどが日光に当たる場所で、雨が当たらないように設置する。
トカゲは上から見られることに恐怖を感じるため、人間と目線が合う高さに飼育ケージを設置するのが理想です。
4.温度計を生活スペースに取り付け、ニホントカゲを入れて完成! 蓋は忘れずに設置しましょう。
飼育温度・・・ニホントカゲが最も活発になるのは27℃前後です。なるべく適温に近い環境に飼育ケージを設置しましょう。
日光浴について・・・戸外飼育の場合は特別必要ありません。
むしろ直射日光で飼育ケース内が温められると、数十分でトカゲが熱中症になり、死亡するリスクがあります。
重要なのは紫外線量で、明るい日陰で十分飼育できます。
日々のお世話は共通
1.水場の水はできるだけ毎日交換する。ニホントカゲはよく水を飲むので新鮮な水を用意してあげましょう。
2.土の表面が乾いて来たら霧吹きをする。
床材の土の表面が白っぽく乾燥して来たら、霧吹きで軽く湿らせましょう。床材内部が乾燥している場合は、飼育ケージの壁沿いに水をしみこませるのがポイントです。
3.エサやりは2日~3日に1回、食べきれる量を与える。トカゲの個性や大きさで食べる量、間隔が違います。目次の「エサの与え方」を参考に与えてみてください。
4.目に見える範囲でフンや食べ残しを取り除く。水場、バスキングスポット、エサ入れにフンがついていることもあるのでこまめに取り除きましょう。
5.床材は1か月を目安に交換する。床材はフンや尿がしみこんで汚れていくので、定期的に交換しましょう。
冬の飼育について
屋内飼育の場合
ニホントカゲは気温が15℃以下になると冬眠しますが、屋内飼育は冬眠させないで飼育するのが前提となります。
飼育ケース内の温度が常時20℃以上ある環境なら対策は不要です
一日の中の温度差が大きい、夜間に15℃を下回る、など温度が安定しない場合は、パネルヒーターなどの暖房器具を使って温度を一定に保つ必要があります。
ヒーターや保温器具についてはこちらの記事も参考にどうぞ
【トカゲ飼育】失敗しないヒーターの選び方・使い方教えます!※日本のトカゲ類が対象
【トカゲ、カナヘビ、ヤモリ飼育】おすすめヒーター6選!製品の特長や口コミまとめ!
戸外飼育の場合
戸外飼育の場合は、冬眠させることが前提となります。
ニホントカゲは気温が15℃を下回ると冬眠するので、外気温が15℃以下になる前に冬眠の準備を済ませておきましょう。具体的な準備内容は、
9月〜10月にエサを十分に与え体力をつける
冬眠前はトカゲの胃の中を空にしておく
飼育ケージの2/3以上に用土を入れ、水場と隠れ家を設置した冬眠用ケースを準備する
外気温が下がり始めたら、トカゲを冬眠用のケージに移動させて様子を見ましょう。トカゲが冬眠したら、日光が当たらない温度変化が少ない5℃前後の場所に飼育ケースを設置。
冬の間は用土を乾燥させないようにチェックし、気温が上がり始めたらトカゲが目覚めた形跡がないか確認して、通常の飼育ケージに切り替えましょう。
飼育ケージの温度変化や、冬眠から覚めた痕跡を見逃すと、餓死する危険が高くなるので、冬眠中でも毎日観察するようにしましょう。
注意点
初めの1週間は我慢の時間
ニホントカゲは警戒心が強く、神経質な特徴があります。我が家にお迎えしたばかりの時はエサを食べないことが多く、1週間以上姿を見せないことも珍しくありません。
初めは飼育環境に慣れさせることが最重要です。水だけは常に新鮮な物を用意して、数日したら数匹のコオロギなどのエサを入れっぱなしにして様子を見ましょう。
トカゲは一週間以上エサを食べなくても平気な生き物なので、無理にエサを与えたり捕まえたりしないで、環境に慣れるまでそっとしておいてあげましょう。
小さい子トカゲの飼育は難しい
ある程度大きくなった子トカゲは乾燥やエサがなくても持ちこたえられますが、生まれて数か月以内といった小さい子トカゲは環境変化に弱く、飼育が難しいです。
子トカゲは、生まれた最初の1年を生き残ることが難しいと言われているので、トカゲ飼育に慣れないうちは、逃がしてあげましょう。
エサを食べないとき
環境の変化やストレスなど、何かのきっかけで急にエサを食べなくなることはよくあります。
生餌を与えてみる、普段と違うエサを与えてみる、ハニ―ワームなどの趣向性の高いエサを与える、などエサの種類を変える方法。
しばらく日にちを空けて、飼育ケージ内にエサを入れっぱなしにする「置きエサ」で様子を見る、強制的に口の中にエサを入れる、などの方法があります。
強制的にエサを食べさせるのは最終手段です。
メスはカルシウム不足になりやすい
メスは、繁殖期になると卵を作ります。
卵には大量のカルシウムを消費するので、オスよりも特に注意が必要です。
カルシウム吸収を助けるビタミンをエサに振りかけたり、カルシウムを多く含むエサを与えたりするなど、栄養管理に気を配りしましょう。
多頭飼いについて
ニホントカゲは縄張り意識が強く、特にオスは激しくケンカするので単独で飼育するのが基本になります。
どうしても多頭飼いしたいときは、メスを複数飼うのが良いでしょう。
脱皮について
トカゲ類は古い皮膚を脱いで、脱皮することで新陳代謝します。脱皮に失敗して体に古い皮膚が残ってしまうことを、脱皮不全と言います。
脱皮不全になると、乾燥した皮が食い込んで炎症を起こす、指や尻尾の先が血行不良になり欠損する、などの影響を与えることがあります。
主な原因として、飼育ケージが乾燥している、必要な紫外線やカルシウムが足りない、などが考えられます。
脱皮不全を見つけた時は、トカゲをぬるま湯に入れてふやかし、傷つけないようにピンセットでそっと取り除いてあげてください。
逃がしてあげるのも選択肢
数週間たってもエサを食べてくれない、日光浴やエサを調達するのが大変、5年・10年と長期に飼育するのは難しい、など飼育が不可能だと思ったときは、捕まえた場所に逃がしてあげることも必要です。
ペットショップや知人からもらった場合など、本来生息していた場所がわからないときは絶対に逃がしてはダメです。
まとめ
- ニホントカゲは土に潜る性質があり、日光浴が必要、エサは昆虫などの生餌
- 屋内飼育は1年中トカゲを見ることができ、人なれし易いが、飼育にお金がかかる
- 戸外飼育は少ない予算で飼育でき、日光浴不足と体調不良になりづらいが、冬眠失敗のリスクがある
- 飼育環境に慣れるまで1週間以上エサを食べないことがある
この記事が少しでも、あなたのお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。