ハイスペックな宝石、ハナムグリ!甲虫界最強の機動力と新事実!

2022年11月7日ハナムグリ

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こんにちは!生き物大好きゆるとと申します!

この記事では、メタリックカラーが美しいハナムグリの高い基本性能と機動力害虫コガネムシとの違い、発見されてから168年間わからなかった新事実について解説していきたいと思います。それでは行ってみましょう!

ハナムグリの生態

分類・・・コウチュウ目、コガネムシ科、ハナムグリ属の昆虫

分布・・・日本全土

体長・・・14mm~25mm

活動期間・・・4月~10月

一年で複数回繁殖する。冬の間は成虫の状態で土の中に潜り冬眠する。

日本では40種類ほどが知られていて、ほとんどの種が美しい金属光沢を持ち広く目にすることができる。その反面、フクロウなど猛禽類が巣穴にしていた木の洞にしか生息できないなど、ごく限られた環境にしか生息しない希少種もいる。

ハナムグリとコガネムシの違い

ハナムグリはよく害虫のコガネムシと間違われますが、花の蜜を食べ、体中のうぶ毛に花粉をたくさんつけて広範囲を飛び回ることで、植物の受粉を助ける重要な役割を持っています。

ハナムグリコガネムシ
体全体に白い斑点がある体に模様がない
顔が四角く、体全体が角ばっている体全体が丸っこい
成虫は花粉、蜜、樹液などを食べる、花の近くにいることが多い葉っぱを食べる、葉の上にいることが多い
翅の付け根が三角形翅の付け根が丸っこい
硬いさや翅を閉じたまま、後ろ翅だけを広げて飛ぶ硬いさや翅を広げて飛ぶ

幼虫、成虫ともに高い機動力を持つ

幼虫の特徴と、変わった移動方法

ハナムグリの幼虫はコガネムシ、カブトムシと同じ姿をした「ジムシ」と呼ばれる姿をしています。見た目がほとんど同じで、土の中で育つこともあり外見だけで見分けることはほぼ不可能です。

しかし、ある習性を観察するとはっきりと違いが分かります。それは歩行速度と歩き方です。

コガネムシなどの幼虫は、土から掘り出されるとお腹を下にしてもぞもぞ歩きます。一方ハナムグリの幼虫は、背中を下にしてひっくり返った状態で、青虫のようにうねうね歩いていきます。ジムシの中ではハナムグリの幼虫が飛びぬけて移動速度が速く、もし競争させれば圧倒的な差を見せつけることができるでしょう。

成虫の特殊な飛び方

カブトムシやコガネムシなど、体が硬い殻でおおわれている「甲虫類」は、他の昆虫と比べて飛ぶことが苦手です。ハナムグリも甲虫類に分類されますが、特殊な飛び方を身に着けたことで、硬く、重たい体でも高い機動力を発揮できます。

ほとんどの甲虫は、硬い「さや翅」と呼ばれる部分を開いて、オレンジ色に透けて見える後ろ翅で羽ばたいて飛びますハナムグリはこの硬いさや翅は閉じたままで、隙間から後ろ翅だけを広げて飛び上がります。

この飛び方はさや翅を開く飛び方と比べて圧倒的に空気抵抗が少なく高速で飛行急旋回が可能で、離陸するスピードも段違いです。

飛行する上で致命的な欠点

飛ぶことにかけて甲虫界では右に出るものがいないハナムグリですが、飛行が得意な昆虫の仲間入りができない致命的な欠点があります。それは目が悪すぎる、という点です。

トンボやハチなどの昆虫と比べれば一目瞭然で、複眼の割合が圧倒的に小さく動体視力も雲泥の差があります。高速で飛行する場合動体視力が低いと目標をとらえることが難しく、無駄な体力を使ったり、大雑把な動きしかできません。

皆さんも自転車やバイクなどで移動していると、硬くて高速で激突してくる弾丸のような昆虫に襲われることってよくありますよね!そんなときは大体ハナムグリのせいです。

目が悪くて良く見えていなかったり、避けられずにぶつかってしまいます。このような茶目っ気があるところも可愛らしい魅力の一つです。

基本性能がハイスペックすぎる

繁殖力が強い

甲虫類では飛行能力が飛びぬけていますが、生物としての基本性能もかなりのポテンシャルを持っています。

ハナムグリは4月〜10月の間に数回繁殖するため、同じ成虫に見えても1期生、2期生など複数の世代が成虫になります。成虫の寿命も1年以上と長く、それだけ繁殖のチャンスが多くなります。

環境悪化に強い

近年様々な生き物が絶滅危惧種に指定される中、ハナムグリはむしろ増えている種類も確認されています。理由として考えられるのは、主食とするエサがどこにでもあることです。

幼虫は枯れ葉や腐葉土があれば道路わきの街路樹や、公園の植え込みなどどこでも成長します。成虫も花の蜜や花粉を食べるため、花が咲いている場所があればどこでも生息できます。

機動性が高く、行動範囲が広い

飛行能力が高いことで広範囲を移動することができ、エサや産卵場所を見つけやすくなります。実際に1日で200m以上移動することもあり、花が咲いている場所を経由して移動すれば、行動範囲は数キロ以上になります。

硬い殻に覆われている

カブトムシと同じように全身が硬い殻に覆われていて、大型の捕食者、噛む力が強い、など硬い殻を突破できる生物以外はハナムグリを捕食できません

美しい体色と草木を元気にする

ハナムグリは金属光沢をもつ種類が多い美しい昆虫です。エサになるのも腐葉土や花の蜜などで、その特性から土を豊かにし、草花の受粉や繁殖を助ける役割を持っています。

バラ、芝生などの葉っぱや根っこを食べるコガネムシと間違われる悲劇が多いですが、庭に住み着いてくれれば草木の成長を助け見た目にも美しい花粉の妖精になってくれます。

カナブンについて

実はハナムグリの仲間

カナブンはコガネムシと間違われやすいですが、幼虫はハナムグリと同じように背中で歩いたり、成虫もさや翅を広げずに飛ぶ習性があり、ハナムグリの仲間であることが分かります。

白い斑点などの模様はありませんが、ツヤツヤに光る体と、見る角度によって様々な色の金属光沢を見せるため、非常に美しい昆虫です。

ハナムグリとの違いは、

・全体的に白い斑点や産毛がない

・体全体が細身で角ばっていて、翅の付け根がとがった三角形

・主に樹液に集まり、花の上にいることはほとんどない

このような点で見分けることができます。ちなみに、ハナムグリは成虫になってから1年以上行きますが、カナブンは成虫になると約1か月ほどで死んでしまいます。

写真家が世紀の大発見

カナブンは野生の幼虫、サナギが見つからず、飼育してもサナギにならなかったり、途中で成長が止るなど必ず成長不良が起きてしまい長年生態が謎に包まれていました。この謎を解決したのは、研究者ではない一人の昆虫写真家でした。

2011年に昆虫写真家の鈴木知之氏世界で初めて、マメ科植物の「クズ」の下にいる幼虫を発見し、168年間謎だった生態を解き明かしました。クズは漢方やお菓子にも使われ、日本では葛湯や葛切餅などにして食べられています。

鈴木氏の凄さは、偶然見つけたジムシ系の幼虫を一目で「カナブンだ!」と見抜く観察力と、生息環境を突き止めるまで周囲を探し続けた情熱です。

ジムシと言われるような土の中にいる幼虫は外見で種類を判別するのが極めて難しく生息環境も必ずしも土の中でなく、落ち葉の下や石の裏にもいます。そのため、クズの葉の下に何かのジムシがいたとしても全く違和感はありませんが、他のジムシとの違いに気づき、新しい発見をした鈴木氏には尊敬の念を覚えます。

こちらは鈴木知之氏の図鑑です。興味のある方はどうぞ

飼育・繁殖が簡単

ここまで読んでくださったなら、弾丸のように激突してきたハナムグリでも、「採集する手間が省けた」と嬉しく感じますよね。実際ハナムグリは飼育がとても簡単で、繁殖させることもできます。

基本的な飼い方はカブトムシと同じです。飼育ケースに腐葉土などを入れ、足場として木の枝などを入れエサは昆虫ゼリーを与えるだけです。

オスとメスが居れば腐葉土に産卵するので、幼虫がふ化したら容器を別にし、新しい腐葉土を入れて成虫になるのを楽しみにしましょう。冬は土に潜って越冬するので、春になればまたハナムグリを楽しむことができます。

最後に

ハナムグリは探せばどこにでもいるありふれた昆虫ですが、少し見方を変えるとその魅力に気付くことができます。この記事を通して、少しでもハナムグリの魅力が伝わったなら嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございます。

ハナムグリ

Posted by ゆると