日本の「甲虫」図鑑【クワガタ・コガネムシ類】

2024年8月6日カブトムシ・クワガタムシ,ハナムグリ,生態データ図鑑,虫・昆虫

ゆると

日本に生息する甲虫類、特に「クワガタ・コガネムシ類の生態」をまとめたページです。
詳しい生態や飼育方法などは、以下のリンクからどうぞ。

詳しい生態やコラムはこちら→虫・昆虫(カテゴリー)

飼育方法はこちら→虫の飼い方(主に昆虫類)

ミヤマクワガタ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、クワガタムシ科
  • 学名:Lucanus maculifemoratus
  • 分布:北海道、本州、四国、九州、利尻島、礼文島、佐渡島、隠岐諸島など
  • 体長:22mm~78mm
  • 活動時期:7月~8月
  • エサ:成虫はクヌギやコナラなどの樹液、幼虫は広葉樹の切り株を主に食する
  • 寿命:成虫の活動期間は野生下で約2~3か月、整った飼育環境下で約1年
  • 生息環境:低山地から山地における広葉樹林
  • 繁殖期:7月~8月に枯れ木の根周辺に産卵する

生態の特徴:

寒冷地では昼行性、温暖な地域では夜行性の傾向がある。冷涼で湿潤な気候を好み、川や沢がある広葉樹林に生息する。闘争心が強い種類で、餌場で同種個体と遭遇した際には大顎で相手を挟み上げたり噛んだりすることがある。また、オスの大顎にはエゾ型(角先端の二又が小さい)、基本型、フジ型(角先端の二又が大きい)の3種類があり、幼虫期を過ごすときの温度が高いとフジ型、低いとエゾ型になりやすいとされる。

主な参考文献:

  • 今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』
  • 小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:Wikipedia『ミヤマクワガタ』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

ノコギリクワガタ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、クワガタムシ科
  • 学名:Prosopocoilus inclinatus
  • 分布:北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島
  • 体長:オスは26mm~77mm、メスは25mm~41mm
  • 活動時期:5月下旬~10月
  • エサ:成虫はクヌギ、コナラ、ヤナギなどの樹液、幼虫は朽ち木の地下部を主に食する
  • 寿命:野生下…成虫になってから1か月〜3か月。飼育下…1か月〜1年。
  • 生息環境:平地から低山地における雑木林、広葉樹林など
  • 繁殖期:6月~8月に土中の朽ち木とその周辺に生涯で30個~50個産卵する

生態の特徴:

飛翔能力が高く、平地から低山地まで幅広い範囲に分布している。昼夜を通して活動する種類で、高温や乾燥に比較的強い。幼虫は成虫になるまでに2回脱皮し、蛹になるまで1年〜2年を要する。前蛹期から羽化するまでを過ごすときの気温、栄養状態などで大顎の大きさが決まってくる。闘争心が強い種類だが、オスの同種個体が鉢合わせた際には互いに大顎を広げ、その開き幅で強さを競う場合がある。

主な参考文献:

  • 今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』
  • 小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:

Wikipedia『ノコギリクワガタ』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%AC%E3%82%BF

オオクワガタ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、クワガタムシ科
  • 学名:Dorcus hopei binodulosus
  • 分布:北海道、本州、四国、九州、対馬
  • 体長:オスは27mm〜77mm、メスは25mm〜44mm。飼育下でオスは93.2mm、メスは61.5mmになった事例が存在する。
  • 活動時期:4月〜10月。気温が低下する11月〜3月までは冬眠する。
  • エサ:成虫はクヌギ、ブナなどの樹液、幼虫は乾燥した朽ち木を主に食する。産卵期のメスは昆虫を食べることがある。
  • 寿命:野生下で2~3年、飼育下で2年~6年
  • 生息環境:ブナ帯の原生林、クヌギの台木など
  • 繁殖期:5月~9月中旬に立ち枯れの木へ産卵する

生態の特徴:

夜行性で、昼間はクヌギ、ブナ等の樹液が出る木の樹洞を縄張りとして過ごす。基本的に大人しい性質だが、縄張りに接近された際には攻撃的になる。オオクワガタは野生下で越冬できることが特徴で、成虫になってから複数年生きることが珍しくない。乾燥した環境を好み、気温、湿度が安定した大木の樹洞に生息する。

主な参考文献:今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』

参考サイト:

スジクワガタ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、クワガタムシ科
  • 学名:Dorcus striatipennis
  • 分布:北海道、本州、四国、九州、種子島、屋久島
  • 体長:オスは13mm~40mm、メスは14mm~25mm
  • 活動時期:5月下旬〜10月。気温が下がる冬季は冬眠する。
  • エサ:成虫はヤナギ、ミズナラ、クヌギなどの樹液、幼虫は朽木を主に食する
  • 寿命:成虫になってから約半年~2年
  • 生息環境:平地や山地の広葉樹林、涼しい気候を好み、主に山地で見られる。
  • 繁殖期:5月〜10月に広葉樹の朽ち木に産卵する。孵化までの期間は約1か月。

生態の特徴:

上翅に細かい縦筋があるクワガタムシ。小型のオスとメスには明瞭な縦筋があるが、大型のオスには縦筋がない。幼虫は孵化後1年ほどで蛹室を作り始め、2か月ほどで成虫になる。成虫になってから3か月程度は蛹室に留まる。

主な参考文献:小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:

ヒラタクワガタ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、クワガタムシ科
  • 学名:Dorcus titanus
  • 分布:北海道、本州、四国、九州
  • 体長:オスは23mm~81mm、メスは21mm~44mm
  • 活動時期:6月〜9月。気温が低下する冬季は冬眠する
  • エサ:成虫は広葉樹の樹液、幼虫は立ち枯れの木の根や倒木を主に食する
  • 寿命:成虫になってからは1年~3年
  • 生息環境:低地から山地における広葉樹、照葉樹(ブナ科、クスノキ科など)
  • 繁殖期:立ち枯れの広葉樹、倒木の地中部に産卵する

生態の特徴:

夜行性で、樹木の洞を主な住処にしている。幼虫でいる期間は1年〜2年で、蛹になってから3週間〜4週間で羽化する。羽化した年は蛹室に留まり、翌年夏から活動し始める。摂氏30度超の高温環境に弱く、高温環境で育った幼虫は羽化が早く、小型化しやすいとされる。成虫は気性が荒く、同種の個体を攻撃することがある。

主な参考文献:今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』

参考サイト:

コクワガタ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、クワガタムシ科
  • 学名:Dorcus rectus
  • 分布:北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島
  • 体長:オスは17mm~54mm、メスは22mm~30mm
  • 活動時期:5月~10月中旬
  • エサ:成虫はクヌギ、ヤナギなど広葉樹の樹液、幼虫は広葉樹の朽ち木
  • 寿命:約3年
  • 生息環境:平地から山地の森林、雑木林、都市部の街路樹など
  • 繁殖期:5月〜9月に広葉樹の朽ち木に産卵する。

生態の特徴:

基本的に夜行性だが、昼間に活動する場合もある。山地の森林から平地の都市部まで分布しており、環境への適応力が高い。孵化して蛹になるまでは1年ほどかかり、3週間ほどで羽化する。羽化した時期によってはそのまま越冬し、翌年の春から活動を始める。気性が荒く、餌場で同性個体とバッティングすると喧嘩し始める場合がある。

主な参考文献:小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:

カブトムシ

  • 分類:コウチュウ目、コガネムシ科、カブトムシ亜科
  • 学名:Trypoxylus dichotomus
  • 分布:本州、四国、九州
  • 体長:27mm~85mm
  • 活動時期:6月~8月
  • エサ:成虫はクヌギやコナラなどの樹液、幼虫は朽木、腐葉土を主に食する
  • 寿命:卵から成虫になるまで約10か月、成虫は約1か月~3か月
  • 生息環境:平地から低山地における二次林、原生林
  • 繁殖期:腐葉土や堆肥などの土中に潜り、数回に分けて20個〜30個ほど産卵する。

生態の特徴:

成虫は夜行性で、昼間は土中や木枝の隙間などで休息する。主な活動時間は夕方から朝で、樹液や熟した果物などがある餌場に集まる。オスの個体には1対の頭角があり、頭角の大きさは幼虫時の栄養状態で決まってくる。低温環境を苦手とするが、飼育環境下では夏から翌年1月ほどまで生存する場合がある。

主な参考文献:

  • 今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』
  • 小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:

サイカブト

分類:昆虫綱、コウチュウ目、コガネムシ科

学名:Oryctes rhinoceros

分布:南西諸島(原産地は南アジア、東南アジア)

体長:オスは33mm~53mm、メスは30mm~50mm

活動時期:通年にわたって活動する

エサ:成虫はサトウキビの維管束、幼虫は堆肥、腐植質を主に食する

寿命:約1年(成虫は約3か月~5か月)

生息環境:サトウキビ畑、ビロウ林など

繁殖期:周年。堆肥や腐った草を含む土中へ産卵する。

生態の特徴:

夜行性で、気温が低下する冬季以外はほぼ一年中活動している。足が太く短く、細い枝に掴まることや転倒した際に起き上がることを苦手とする。穿孔能力が強く、ヤシの木やサトウキビなどの葉を基部から摂食して枯死させる場合がある。孵化して蛹になるまでは約半年、蛹から2週間ほどで成虫になる。

主な参考文献:小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:

コカブト

  • 分類:コウチュウ目、コガネムシ科、カブトムシ亜科
  • 学名:Eophileurus chinensis chinensis
  • 分布:北海道、本州、四国、九州
  • 体長:18mm~26mm
  • 活動時期:4月〜10月(冬季は朽ち木の中で越冬する)
  • エサ:成虫は他昆虫の幼虫や死骸、幼虫は朽ち木を主に食する
  • 寿命:野生下の幼虫は孵化後約2か月で成虫になり、成虫になってから約半年~2年活動する
  • 生息環境:平地の自然林、海岸など
  • 繁殖期:6月~7月末

生態の特徴:

成虫は主に夜間活動するが、昼間に活動する場合もある。成虫は肉食性で柔らかいものを好み、多種の幼虫やミミズなどを主な捕食対象としている。外見は頭部に小さい角が1本あり、前胸が凹んでいることが特徴。オスの個体は凹んでいる部分が丸く、メスの個体は細長いことで雌雄を判別できる。

主な参考文献:

  • 今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』
  • 小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト

アオカナブン

instagram @yumesakinomoriさんの投稿より引用https://www.instagram.com/p/C9hHuSPpHfL/?img_index=1
  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、カブトムシ亜科
  • 学名:Rhomborrhina unicolor
  • 分布:北海道、本州、四国、九州
  • 体長:22mm~29mm
  • 活動時期:5月~9月
  • エサ:幼虫は腐葉土、成虫はクヌギやヤナギなどの樹液、熟した果実などを主に食する
  • 寿命:約1年(成虫になってからは約1か月)
  • 生息環境:低地から山地の森林、雑木林など
  • 繁殖期:5月~9月

生態の特徴:

冷涼な気候を好み、主に山地に分布している。飛翔能力が発達しており、足場が無い状況からでも飛翔できる。主に朝〜昼にかけて活動するが、夜になって灯火周辺に集まってくることもある。普通種のカナブンと比較してアオカナブンは背面の金属光沢が強く、体形が細長いなどの違いがみられる。背面の色は緑色もしくは橙色だが、福江島に分布する亜種は青色であることが特徴。

主な参考文献:今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』

参考サイト:

カナブン

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、コガネムシ科
  • 学名:Pseudotorynorrhina japonica
  • 分布:北海道、本州、四国、九州
  • 体長:25mm~29mm
  • 活動時期:6月~8月
  • エサ:成虫は広葉樹の樹液、幼虫は腐葉土を主に食する
  • 寿命:約1年(成虫になってからは約3か月~4か月)
  • 生息環境:平地から山地の森林、公園など
  • 繁殖期:6月~8月、主にクズ群落の腐葉土などに産卵する

生態の特徴:

涼しい環境を好み、樹液が出ている広葉樹林や雑木林などで見られる。成虫は全身に金属光沢があることが特徴で、体色は緑褐色、赤銅色など個体によって異なる。幼虫は土中で越冬し、数回の脱皮、蛹化を経て孵化後8か月ほどで羽化する。成虫になってからは1か月ほど蛹室に留まった後に活動を開始する。

主な参考文献:

  • 今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑』
  • 小池啓一『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト:

シロテンハナムグリ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、コガネムシ科
  • 学名:Protaetia orientalis
  • 分布:本州、四国、九州、対馬
  • 体長:20mm~25mm
  • 活動時期:4月~12月(生息地によって異なる)
  • エサ:成虫は花の蜜や樹液や熟した果実、幼虫は朽ち木や腐葉土
  • 寿命:1年~2年
  • 生息環境:雑木林、都市部の公園など
  • 繁殖期:5月に土や朽ち木の中へ20個〜30個産卵する。卵は約2週間で孵化

生態の特徴:

成虫越冬を行える能力を持ち、成虫になってから1年〜2年活動する。飛ぶ際には前翅を閉じた状態で後翅を広げて羽ばたくことが特徴になっている。見た目と分布が類似しているシラホシハナムグリとの見分け方として、前脚が長い、体形が細長い、後翅が青くないといった特徴がある。

参考サイト:

クロハナムグリ

  • 分類:昆虫綱、コウチュウ目、コガネムシ科
  • 学名:Glycyphana fulvistemma
  • 分布:北海道、本州、四国、九州
  • 体長:約13mm~15mm
  • 活動時期:4月下旬~8月下旬
  • エサ:成虫は花の蜜や花粉、幼虫は朽ち木や腐葉土
  • 寿命:約1年~2年
  • 生息環境:平地から山地の草原、雑木林など
  • 繁殖期:5月~7月上旬

生態の特徴:

幼虫は朽ち木の中で活動し、3齢幼虫まで成長、成熟した後に土に潜って蛹室を形成する。羽化するまでの期間は1か月ほどで、野生下では羽化してから翌4月辺りまで蛹室に留まって越冬する。越冬後は地上で採食、繁殖などを目的として活動を始める。個体によっては繁殖後に地中に潜って越冬し、翌年まで生存した記録がある。

参考サイト:

オオトラフハナムグリ

  • 分類:昆虫綱、甲虫目、カブトムシ亜目
  • 学名:Paratrichius doenitzi
  • 分布:本州、四国、九州
  • 体長:11.5mm~14.5mm
  • 活動時期:6月~8月
  • エサ:成虫は花の蜜や花粉、幼虫は土壌化が進んだ朽ち木を主に食する
  • 寿命:不明(幼虫期間は13か月ほど)
  • 生息環境:山地の自然林
  • 繁殖期:6月~8月頃に朽木内に産卵する

生態の特徴:

性別によって色彩が異なることが特徴。オスは前胸背や上翅に黄白色の斑紋があり、メスは全体的に黒色で、上翅に黄白色の小さい斑紋がある。成虫は飛翔能力が発達しており、飛び回ってノリウツギやガクウツギなどの花の蜜、花粉を集める。山地性だが、地域によっては平地に生息している。

主な参考文献:今井初太郎『日本の昆虫生態図鑑 カブトムシ クワガタムシ』

参考サイト: