【ヒキガエル】5種の見分け方と探し方!オスメスの判別やウシガエルとの違いも徹底解説!
こんにちは! 生き物大好き、ゆるとです
ヒキガエルは体色や見た目だけでなく、性格も大変に個性豊かで、判別が難しいカエルです。
- 捕まえたヒキガエルの、種類や生態を知りたい
- 各種ヒキガエルの見分け方や、特徴を知りたい
- ヒキガエルの探し方、捕獲方法が知りたい
- オス、メスの判別方法が知りたい
- ウシガエルとの違い、見分け方は? など
この記事では、あなたが“ヒキガエル”を存分に楽しむために、役立つ情報を解説していきます。
解説するヒキガエルは、次の5種類とウシガエルです。
- アズマヒキガエル
- ニホンヒキガエル
- ミヤコヒキガエル
- ナガレヒキガエル
- オオヒキガエル
ヒキガエルを飼育している方、これから飼育する方、捕まえたい方、観察したい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
それではいってみましょう!
アズマヒキガエルと、ニホンヒキガエル
始めにアズマヒキガエルと、ニホンヒキガエルについて見ていきましょう。
見分け方
最も的中率が高い、とされている判別方法から紹介します。
目と鼓膜までの距離と、鼓膜の直径の大きさの違いにより、どちらか見分ける方法です。
名前 | アズマヒキガエル(左側) | ニホンヒキガエル(右側) |
見分け方 | 目と鼓膜までの距離、よりも、鼓膜の直径が大きい | 目と鼓膜までの距離、よりも、鼓膜の直径が小さい |
・・・ですが、正直わかりづらいですよね。
文章で説明すると、さらにわかりづらさが増す気がします。
そこで、私がフィールドワークのさいに、ヒキガエルを見分けている基準を紹介します。
アズマヒキガエル・・・ 鼓膜の大きさが、目の大きさと同じか、それ以上の場合は、アズマヒキガエル。
ニホンヒキガエル・・・ 鼓膜の大きさが、目の大きさより小さいか、鼓膜が目より遠い場合は、ニホンヒキガエル。
アズマヒキガエル(左側) | ニホンヒキガエル(右側) |
あくまで経験則ですので、判別の精度についてはご容赦ください。
しかしながら、ヒキガエルは地域差や個体差が非常に大きいため、正確に判別するのはほぼ不可能ではないか、と思います。
怒らないでくださいね・・・。
表現がよくありませんでしたが、あなたも理由がわかれば、納得していただけるはずです。
なぜ判別が不可能なのか?
それは両種が混在する地域が多く、生態もほぼ同じで、ハイブリッド個体の存在まで多数報告されているためです。
アズマヒキガエルと、ニホンヒキガエルは縄張りを持たず、生息分布の境界線は無いも同然です。
遺伝子的にはやや遠い両種ですが、交雑も可能です。
捕まえた個体が、両種のハーフやクオーターだった場合、素人が判別できる難易度ではありません。
ですので、アズマヒキガエルとニホンヒキガエルの見分け方については、おおよその目安と考えていただきたいと思います。
生態を比較してみよう
名前 | アズマヒキガエル(左の画像) | ニホンヒキガエル(右の画像) |
分布地域 | 主に東日本に分布 北海道、東北〜近畿地方付近まで 日本の固有種 | 主に西日本に分布 近畿地方南部〜九州、屋久島まで 日本の固有種 |
体長 | 6cm~18cm | 6cm~18cm |
見た目の違い | 鼓膜が大きい 体のイボが小さめ | 鼓膜が小さい 体のイボが大きめ |
※ この他の生態はほぼ同じですので、分割せずに解説します。
生息場所・・・ 雑木林、公園やお寺、民家の庭先など、水辺から離れた場所に多い
エサ・・・ ダンゴムシ、アリ、ミミズ、コオロギなど、口に入る大きさの動くもの
生活サイクル・・・ 活動時期は4月〜11月ころ。気温が下がる11月〜12月に冬眠する。繁殖期は2~5月。
2月前後に、一時的に冬眠から目覚め、交尾産卵する場合がある。
ちなみに、もともと北海道にはヒキガエルが生息していなかったため、国内外来種という扱いになっています。*¹
詳しくは、北海道の環境生活部のページをご確認ください。
*¹出典:アズマヒキガエル 指定外来種(北海道 環境生活部)
オスとメスの判別方法
鳴き声
最も簡単な判別方法は、鳴き声でしょう。
ヒキガエルは、オスだけが鳴き声を出すので、鳴けばオスとわかります。
鳴き声を確認する方法は、ヒキガエルを掴んで持ち上げることです。
カエルの背中側から、前足のわきの下に指を入れて掴み、そのまま持ち上げると、キュッキュッキュッと鳴きます。
しかし、必ず全てのオスが鳴き声を出すわけではありません。
鳴けばオスと判別できますが、鳴かない場合、オスとメス両方の可能性があります。
鳴き声で判別できない場合は、抱きだこの有無を確認してみましょう。
抱きだこ
メスに比べ、オスの前足は太く、指に黒い「抱きだこ」があります。
オスは交尾のさい、メスにすこぶる強く抱き付きます。
メスを絶対逃がさないための腕力と、抱きだこです。
ですが、抱きだこや前足についても、残念ながら個体差があるので注意しましょう。
例えば、繁殖期が近づくと黒くなる、そもそも無いように見える、などです。
繁殖期の様子
繁殖期のオスは、体色や見た目が変化します。
普段よりも幾分か体色が明るい色になり、体中のイボも縮み、つるりとした外見になります。
オスメスが判別しづらい通常時に比べ、オスの雰囲気が変わるのが、繁殖期の特徴です。
ヒキガエルの探し方
ここまで読んでくださった「あなた」は、ヒキガエルを捕まえたくなり、うずうずしてきたことでしょう。
まずは、ヒキガエル探しに必要なアイテムについて解説します。
必須アイテム
懐中電灯・・・ 発見率が大きく変わります。
プラケースなど・・・ 一時的にヒキガエルを入れる容器です。
軍手・・・ ヒキガエルは皮膚から毒を出すので、すぐに手が洗えない場合、軍手などで捕獲するのが良いでしょう。
狙うなら“夜”
夜、だと漠然としていますが、狙い目の時間帯があります。
具体的には、20時〜24時前後です。
ヒキガエルは夜行性で、昼間は倒木や岩の下などに穴を掘り、隠れています。
ですので、日中はまず見つけられないでしょう。
完全に日が沈み、夜行性の虫たちが活動し始める時間帯を狙います。
カブトムシ採集では、20時~22時までが「ゴールデンタイム」と呼ばれています。
ヒキガエルがエサを目当てに現れるのも、この「ゴールデンタイム」と重なるわけです。
5月〜10月
5月〜10月は、ヒキガエルが活動的になる時期です。
ヒキガエルは雑木林や民家の縁の下、公園、キャンプ場などに潜んでいることが多く、池など水辺の近くにはあまり現れません。
キャンプ場や公園の街灯周辺など、エサになる虫が集まる場所を探してみましょう。
懐中電灯は必須アイテムです。
街灯のすぐ下でも意外に暗く、茶色っぽいヒキガエルは風景に溶け込むため、見逃してしまうことがあります。
ですがライトで照らしていれば、見えやすいだけでなく、ヒキガエルがびっくりして動くので、見つけやすくなります。
繁殖期
個人的には勝手に「フィーバータイム」と呼んでいます。
お住いの地域にもよりますが、おおよそ2月〜5月ごろです。
ヒキガエルは冬眠から目覚めると、繁殖期に入ります。
繁殖期には池や沼などの水辺に、大量のヒキガエルが集まって来ます。
俗に「カエル合戦」と呼ばれ、大量のヒキガエルが入り乱れて交尾、産卵します。
大チャンスですが、ヒキガエルたちは、限られた一部の水辺だけに集まる点に注意しましょう。
カエル合戦の候補地を予測、下見するなど、事前準備が重要です。
なお、ヒキガエルの捕獲は必要最小限の数に留めましょう。
毎年元気なヒキガエルに出会えるよう、心配りをしてあげてくださいね。
ミヤコヒキガエル
生態
分布・・・ 沖縄県、宮古島の固有種
池間島、宮古島、伊良部島、下地島など、宮古島諸島に生息、分布している
体長・・・ 6~11cm
エサ・・・ アリ、ダンゴムシ、ミミズ、バッタ など
生息場所・・・ 雑木林など
生活サイクル・・・
一年中活動しており、繁殖期は9月〜3月ころ。温かい地域に生息しているため、冬眠する必要がない。
一口メモ
日本で一番小さく、カラフルで可愛らしいヒキガエルです。
準絶滅危惧種に指定。*¹
法律で捕獲や、宮古島からの持ち出しが禁止されています。
※ペットショップなどで入手できるミヤコヒキガエルは、大東島などに生息する個体なので、飼育可能です。
レッドリストについては、環境省のページをご確認ください。
特徴と見分け方
・体色がオレンジや明るい茶褐色をしており、カラーバリエーションが豊富
・他のヒキガエルより小ぶりで、約1.5~2倍ほど体格差がある
ナガレヒキガエル
生態
分布・・・ 中部地方から紀伊半島にかけて分布 日本の固有種
体長・・・ 7〜16cm
生息場所・・・ 森林や渓流など、やや標高が高い山間部
エサ・・・ ミミズ、ワラジムシ、昆虫、ナメクジ など
生活サイクル・・・ 活動時期は5月〜11月ごろ。気温が下がる11月ごろに冬眠する。繁殖期は3〜5月ごろで、流れが緩やかな場所に産卵する。
一口メモ
ヒキガエルのレア種。なかなかお目にかかれない。
泳ぎが上手で、木に登ることも。
渓流で育つオタマジャクシは、流されないよう常に岩に吸い付いている。
※一部の地域では、絶滅危惧種に指定されており、捕獲採取が禁止されています。
絶滅危惧種に指定されている地域*¹
- 富山県 絶滅危惧種
- 奈良県 絶滅危惧種
準絶滅危惧種に指定されている地域*¹
- 岐阜県 準絶滅危惧種
- 福井県 準絶滅危惧種
- 滋賀県 準絶滅危惧種
- 和歌山県 準絶滅危惧種
特徴と見分け方
・鼓膜が小さく不鮮明で、見つけづらい。もしくは鼓膜が無いように見える。
・山間部や渓流に生息、お腹は黄色っぽい。
・他のヒキガエルより足や、指が長い
・泳ぎが上手
オオヒキガエル
生態
特定外来生物*¹
原産国・・・ アメリカ、テキサス州南部から中米、南米北部
日本での分布・・・ 小笠原諸島(父島、母島)、大東諸島(北大東島、南大東島)、八重山諸島(石垣島、西表島、鳩間島)など
体長・・・ 9~25cm
生息場所・・・ 畑、民家の庭先など、開けた場所
エサ・・・ ミミズ、虫、小動物など、口に入るものは何でも食べる
日本最大最凶のヒキガエル
生活サイクル・・・ 一年を通して繁殖、活動する。12~1月が産卵のピーク
もともとは、サトウキビの害虫駆除のために輸入された。
生命力が強く、水温40℃以上の環境でもオタマジャクシがカエルに育つ。
強力な毒を持ち、オオヒキガエルを食べた動物が大量死する事件も起きている。
ですが、オオヒキガエル自体には何の罪もありません。
持ち込んだ、我々の責任です。
戒めとして、私自身も反省したいと思います・・・。
ところで、オオヒキガエルは特定外来生物に指定*¹されており、飼育、移動が禁止されています。
詳しくは環境省のページをご確認ください。
特徴と見分け方
・後頭部のコブ(耳腺)が大きく、太い
※オオヒキガエルは、他のヒキガエルとは圧倒的に「耳腺の大きさ」が違います。
・全体的にゴツゴツした見た目で、迫力がある
耳腺の大きさ | オオヒキガエル(左側) | ニホンヒキガエル(右側) |
ウシガエルとヒキガエルの見分け方
ウシガエルとヒキガエルは混同されがちですが、全く別種のカエルです。
簡単に見分ける方法
簡単に見分ける方法は、発見場所と皮膚の質感です。
名前 | ウシガエル(左側) | ヒキガエル(右側) |
発見場所 | 半水棲のカエルで、池などの水面に浮かんでいる様子や、水辺で発見できる | 地上性のカエルで、水辺から離れた雑木林など、陸上で発見できる |
皮膚の質感 | 素手で捕まえると、ぬめりが有り、ツルツルの皮膚している | 素手で捕まえると、皮膚はゴツゴツとしてぬめりは無く、全身にイボが有る |
※例外的にヒキガエルは、カエル合戦が行われる繁殖期には、池などの水辺に集まります。
生態を比較
どちらも夜行性で、冬は冬眠します。
詳しい生態を見ていきましょう。
名前 | ウシガエル(左側) | ヒキガエル(右側) |
原産国: 日本での分布: | ・アメリカ北部〜中部が原産、外来種 ・日本全域 | ・日本原産、固有種 ・北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 池や沼など、水辺を好む トノサマガエルと同じ、半水棲のカエル | 水辺から離れた陸地に生息 地上性のカエル |
体長 | 11cm~20cm | 6cm~18cm |
エサ | ザリガニ、カエル、ネズミなど | ダンゴムシ、ミミズ、コオロギなど |
体色 | 緑がかったまだら模様 腹はやや黄色い | 茶褐色に黒い模様が入る 腹は白に黒い模様 |
外見の特徴 | ぬめりが有る、ツルツルした肌 鼓膜が非常に大きく、目の1.5倍ほど | 全身にイボが有り、ゴツゴツした肌 鼓膜の大きさは目と同じか、目より小さい |
水かき | 足の指が長く、水かきが発達している 泳ぐのが上手 | 足が太く短い、足の指も短い 泳ぐのは苦手 |
鳴き声 | ヴォー、ヴォー、と大きな声で鳴く 騒音公害として問題になったことがある | キュッキュッキュッ、と小さく鳴く ほとんど鳴くことがない |
毒性 | 毒は無い | 神経毒が有る |
食用にできる? 味は? | 食用に輸入された経緯がある 魚と鶏肉の中間のような味 | 毒が有り、食用として推奨できない 苦い味。素人が調理するのは危険 |
ウシガエルは、特定外来生物*¹に指定されています。
※特定外来生物は、捕獲、移動、飼育、販売などが禁止されています。
ウシガエルの扱いについては、下記のリンクページをご確認ください。
*¹出典:守ろう!生物多様性 定外来生物ウシガエル(環境省)
圧倒的なオタマジャクシ
名前 | ウシガエル(左側) | ヒキガエル(右側) |
体長 | 13cm~15cm | 3cm~4cm |
成長スピード | 6ヶ月〜8ヶ月 オタマジャクシのまま越冬 春にカエルになる | 1ヶ月〜3ヶ月でカエルに |
ウシガエルのオタマジャクシは、とにかく巨大です。
長さだけで比べれば、大人のヒキガエルとほぼ同じサイズです。
一方、ヒキガエルのオタマジャクシは3cm~4cmと小さく、真っ黒いのが特徴です。
まとめ
お疲れさまでした。 まとめを見ていきましょう。
オス、メスの見分け方・・・ オスは鳴き声を出し、指に黒っぽい抱きだこがある。
アズマヒキガエルとニホンヒキガエルの見分け方・・・
鼓膜の大きさが、目と同じくらいならアズマヒキガエルの可能性が高い。
鼓膜の大きさが、目より明らかに小さい、または目から離れた位置にある場合は、ニホンヒキガエルの可能性が高い。
ヒキガエルの探し方・・・ 時間帯は夜の20時〜24時ごろ、キャンプ場などの街灯周辺が狙い目。
ウシガエルとヒキガエルの見分け方・・・
ウシガエルは、水辺にいることが多く、触るとぬめりがあり、スベスベした肌質。
ヒキガエルは、水辺から離れた陸地にいることが多く、全身にイボがあり、触るとゴツゴツした肌質。
長文になってしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
あなたがヒキガエルを、より楽しむお手伝いができたなら幸いです。
ヒキガエル飼育について、詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ