触れると火傷する!青光りのギャンブラー、ツチハンミョウの生態
こんにちは!生き物大好きゆるとと申します!
この記事では、美しいメタリックブルーの昆虫、ツチハンミョウの数奇な生態、毒性、人との意外な関わりなどについて紹介したいと思います。それでは行ってみましょう!
ツチハンミョウの生態
分類・・・コウチュウ目、ツチハンミョウ科
分布・・・北海道、本州、四国、九州
体長・・・7~30mm
成虫を見かける時期・・・3月〜5月 冬は冬眠
エサ・・・マメ科の植物の葉
生息環境・・・山林、草地など
日本には15種類が生息、10月頃に成体に成長する、オスの触角は一部が膨らんでいる。林道などにいるハンミョウとは全く違う種類
左、ツチハンミョウ 右、ハンミョウ
触れると火傷!毒について
毒成分と危険度
ツチハンミョウは動きが遅く、体も柔らかい、飛べない昆虫です。動物などに襲われると、ひっくり返り死んだふりをします。この時、足の関節部分から黄色い体液を分泌するのですが、この体液には触れると炎症や水膨れを起こし、もし飲み込んだ場合は命にかかわる猛毒を含んでいます。
ツチハンミョウに触ってもすぐには症状が現れず、数時間たってから毒がついた皮膚の炎症、水膨れができヒリヒリと痛みます。もし皮膚に付いてしまったら、すぐに水でよく洗い流し、ステロイド配合の抗ヒスタミン薬を塗ってください。目に入った場合はすぐに病院に行ってください。
毒の成分はカンタリジンで、純粋な結晶は水にほとんど溶けず、人間の致死量は30mgという猛毒です。ちなみに、大型のツチハンミョウなら1匹で致死量となるのでYouTuber(ユウチュウバー)の方は食べないでくださいね。
人間を含む多くの生物との関わり
強力な毒を持つことで身を守っているツチハンミョウですが、悲しいことに人間や鳥類、昆虫までもこの毒を利用するために近寄ってきます。
ある種の昆虫はツチハンミョウの死体に含まれる毒の匂いに引き寄せられ、死体に寄生したり、食べて毒を取り込むことで他の生き物の捕食から逃れたり、卵に含ませて捕食されにくくするなど恩恵にあずかっています。また多くの虫の天敵である鳥類は、この毒に耐性がある種類が多いだけではなく、腸内の寄生虫を駆除するために積極的に狙って食べる種類もいます。
他の生き物と同じく、人間もこの毒に目を付けて古くから利用してきました。触れると水膨れになることを利用して、イボ取り、膿だしに使ったり、漢方薬として微量を煎じて、利用剤、惚れ薬、さらには暗殺に使用されたこともあるそうです。
生粋のギャンブラー
成虫に成る過程
土に産み付けられた卵からふ化すると、すぐに最寄りの植物に登っていき、花の中に潜みます。ふ化した幼虫は細長い体に発達した脚とあごを持っていて、その花にやってきたハナバチのメスに取り付きハチの巣へと運んでもらいます。その後、カブトムシの幼虫のような姿に変わり、巣の中に産み付けられたハチの卵を食べ、蜜を食べ、サナギになります。そこからまた幼虫に姿に戻り、もう一度サナギになり成虫へと成長します。
生き残る確率
それでは、ギャンブラーと呼ばれる所以である生存確率について見ていきましょう。ツチハンミョウは昆虫としては異常なほど多い、4~6000個もの卵を産みます。ここから運命がスタートします。
第一関門・・・ふ化後、登った花の上で4日経過→死
第二関門・・・登った花に来た昆虫がハチ以外だった→死
第三関門・・・花に来たハチが「ハナバチ」ではなかった→死
第四関門・・・取り付いたハナバチが単独で巣を作る種類ではなかった→死、※日本のハナバチ386種の中で単独の巣を作るのは、約3種しかいません。
第五関門・・・取り付いたハナバチが雄だった→死
第六関門・・・巣にたどり着き、雌のハナバチが卵を産んでいなかった→死
第七関門・・・卵への着地に失敗、ハチミツの中に落ちた→死
無事、卵の上に着地できた・・・クリア!
すべての難関をクリアし、成虫になれるのは約1/6000の確率です。パチンコ台で計算すると、大当たり確率1/300の台なら、おおよそ1000回転させれば1回大当たりが出るそうです。
一部地域では絶滅の危機
死んでいく同期たちをしり目に何とか生き延びてきたツチハンミョウですが、不幸続きに絶滅の危機に直面しています。宿主にしているハナバチ類の数が減っているためです。
ハナバチは環境変化の影響を受けやす種類で、土地開発などにより住んでいる環境が変わってしまったり、花粉などエサにしている植物達が減少していることが原因になっています。
最後に
美しい見た目や毒性の派手さが目立ちますが、厳しい選別を生き抜いてきた過去を知ると、励ましてあげたくなる昆虫です。この記事でツチハンミョウの魅力を少しでも感じでいただけたら嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございます。