実は危険な【カラスヘビ】を徹底解説!飼育は可能?毒性は?謎の多い生態を分析!
こんにちは! 生き物大好き、ゆるとです!
純白の「白ヘビ」も素敵ですが、漆黒に輝く「カラスヘビ」も非常に魅力的ですよね。
水田のまわりなどで稀に見かける真っ黒なヘビ、通称「カラスヘビ」は、他のヘビと比べ見つけるのが難しく、謎が多いヘビです。
一般的には、「カラスヘビの正体はシマヘビの特殊個体」という説が有力です。
しかし結論から申し上げると、カラスヘビは「色素異常により黒化した個体の総称」で、日本に生息するヘビすべてが当てはまります。
ですので、捕まえたカラスヘビが、「ヤマカガシ」や「マムシ」などの危険な毒ヘビである可能性も十分ありえます。
この記事では、
- カラスヘビの正体
- 飼育可能、不可能の基準
- 飼育方法
- 毒性について
- カラスヘビの見分け方
などについて解説していきます。※主にシマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシ、マムシ、ハブについて解説します。
ほんの少しでも興味が湧いたそこの「あなた!」、最後まで読んでいただけたら、私が泣いて喜びます。
それではいってみましょう!
カラスヘビの正体
カラスヘビの正体は、シマヘビ・アオダイショウ・ヤマカガシ・マムシなど、日本に生息するヘビの一部の個体が、色素異常により黒化したものです。
カラスヘビはもともと特殊な個体ですが、“黒化”にも個体差があります。
全身真っ黒なものや、白黒のまだら模様、青みを帯びた黒など、様々な色合いをしています。
これはメラニズムまたはメラニスティックと呼ばれるもので、生まれつき皮膚や組織に黒色素が過剰に形成され、色素が沈着することで全身または体の一部が黒色化する現象です。
よく耳にする“アルビノ”は、生まれつき色素が欠乏している状態なので、メラニズムと真逆の現象ですね。
ちなみに、メラニズムはヘビなどの爬虫類に限らず、人間も含めたすべての動物に当てはまります。
ほとんどの場合「カラスヘビ」はシマヘビの黒化個体ですが、危険な毒ヘビであるマムシなどの黒化個体の可能性もあるので、捕獲や観察する際は注意が必要です。
飼育できるかの判断基準
ヘビ好きな方なら、一度は「カラスヘビを飼育したい!」と思ったことがある!
・・・・はずですよね?
そこで、カラスヘビ飼育の可不可を判断する基準を解説します。
毒性の有無
大前提として、日本の法律では毒ヘビの飼育が禁止されています。
ですので、カラスヘビの「正体」が、ヤマカガシ、マムシ、ハブ、などの「毒ヘビ」だった場合は、飼育不可能です。
例外として、研究目的など正当な理由がある場合は、飼育が許可されることもあります。
詳しくは環境省の「特定動物の飼養または保管の許可について」のページをご確認ください。https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/danger.html
ヘビが飼育できる環境
カラスヘビの正体が無毒なヘビだった場合は、飼育可能です。
しかしながら、ヘビを飼育する「知識と環境」が整っていない場合は、アウトです。
※ヘビ飼育の経験がある方は、次の章をお読みください。
具体的には、
- 常時、気温が20℃〜25℃の場所を確保できる。
- 最低でも、90㎝×45㎝ほどの飼育ケージを用意できる。※衣装ケースで代用可能。
- ヘビの脱走を防止できる。※後ほど詳しく解説します。
- お世話などでヘビを扱う際は、いつ噛み付かれてもいい覚悟を持っている。
- 長期飼育を前提とし、ヘビが懐かなくても愛情をもって飼育できる。
おおよそ、この5つがクリアできれば楽しいカラスヘビライフが送れるでしょう。
補足として、「ヘビの脱走」と「噛み付き」について解説します。
===ヘビの脱走について===
ヘビは驚くほど柔軟で力強く、脱走の名人です。
アゴの骨が特殊な構造になっているため、頭の形を変形させたり、柔軟な体で小さい隙間に入り込んだりするのが得意で、「どうやって入った?」と思うような狭く小さい容器に納まっていたりします。
また、手足がない分体幹が非常に強く、意外に強い力を持っており、飼育ケージの蓋などをこじ開けて脱走することがあります。
蓋に重しをしたり、しっかりロックできる飼育ゲージを用意したりと、脱走対策をしましょう。
===ヘビの噛み付きについて===
ヘビは意外に神経質で、臆病な生き物です。
人の影に驚いたり、手をエサと間違えたり、野生の本能が働くなどして、突然飛びかかってくることがあります。
ですので、常に噛まれる覚悟と、噛まれた際の対策を考えておくことをおすすめします。具体的には、長袖、軍手を着用するなどです。
エサについて
最後に、エサについてです。
カラスヘビの主食となるエサは、カエル、鳥、ネズミです。
野生のエサを定期的に与えられる場合は問題ありませんが、ほとんどのヘビ飼育者の方は、通販で入手した冷凍マウスを与えているでしょう。
当然、ネズミをそのまま冷凍した見た目なので、生理的に無理な方もいらっしゃるでしょうし、家庭の事情で冷凍庫に保存できない方もいらっしゃるでしょう。
とはいえ、定期的に野外でエサを採集するのは大変ですし、特に冬場は確保が難しくなります。
ですので、冷凍マウスを扱うことができ、餌付けに成功したならば、カラスヘビを健康に飼育できるでしょう。
ちなみに、冷凍マウスはぬるま湯などで解凍し、ピンセットで与えますが、ヘビによってはなかなか食べない個体もいるので、餌付けには工夫と根気が必要です。
飼育方法
お疲れ様です。長くなってしまいましたね。
この章では無毒なカラスヘビの代表として、シマヘビやアオダイショウの飼育方法について解説します。
飼育ケージの温度
適温は18~25℃、10℃を下回ると冬眠する・・・
ほとんどの場合、ヘビは冬眠させずに飼育します。また日本原産のヘビは基本的に、温度や湿度の管理ができていれば問題なく飼育できます。
ですので、温度が一定に保たれているならば日光浴などは必要ないでしょう。パネルヒーターなどで床暖房するのも有効です。
日々のお世話について
===餌やりは3日に1回ほど===
ヘビは省エネな生き物なので、毎日与える必要はありません。3日〜4日に1回、エサを与える程度で十分です。
環境に慣れるまでは、生きたエサを飼育ケージに放しておくことをおすすめします。ヘビが人間に慣れてきたら、ピンセットなどで与えてみましょう。
生きたエサは、ペットショップでエサ用のカエルなどが売られていることもあります。
===拒食について===
ヘビは何かの拍子に、いつも食べているエサを食べなくなることがあります(拒食と呼びます)。その時は、1週間ほど開けてから与えるか、生きたエサや、カエルなどヘビの好物のエサを与えるとよいでしょう。
食べさせるコツとしては、
- いつもと違うエサを与える
- 生きたエサを与える
- エサを飼育ケージに入れっぱなしにしておく(生きたエサの場合)
などです。
===水替えはできれば毎日===
ヘビは水浴びが大好きです。また、水入れ内にフンをする場合もあり得るため、常にきれいな水を準備してあげましょう。
===床材交換の目安===
床材の種類により交換頻度は異なりますが、代表的な2つの床材について解説します。
床材が、クッキングペーパーや新聞紙の場合は、1週間〜2週間に1度が目安。土や苔など、テラリウム水槽の場合は1か月〜2か月に1度が目安です。
不衛生な環境やストレスによる病気を防止するために、常に清潔な環境を保ってあげましょう。
野生のヘビを飼育するポイント
お疲れさまでした。飼育方法について、なんとなく理解していただけたかと思います。
ところで、
カラスヘビはペットとして市場に流通していません。ですので、「カラスヘビの飼育=野生のヘビの飼育」となります。
野生のヘビは警戒心が強く、神経質ですので、人や環境に慣れるまで時間がかかりますし、人間もヘビとの生活に慣れるまで時間がかかります。
ヘビを環境に慣れさせる目安は1か月〜2か月ほどで、特に最初の1週間〜2週間は、3日〜1週間おきに水替えする程度にし、極力ヘビとの接触を避けましょう。
生きたエサが手に入る場合は、飼育ケージに放しておくと、ヘビにストレスをかけずエサを与えられます。
ピンセットでエサを与えたり、冷凍マウスの餌付けをしたりするのは、ヘビが人間に慣れたタイミングで行いましょう。
ヘビ飼育に必要な道具
※写真は海外品種の、セイブシシバナヘビです。
飼育に最低限必要な道具をまとめました。
イメージしやすいように商品リンクを張っておきますが、基本的に100均などで代用できます。
環境にもよりますが、冬季はパネルヒーターの設置をおすすめします。
ヒーターについてはこちらの記事を参考にどうぞ:【トカゲ、カナヘビ、ヤモリ飼育】おすすめヒーター6選!製品の特長や口コミまとめ!
飼育ケース
・とぐろを巻いた3倍以上のスペースが必要。目安としては90センチ前後で、蒸れないように風通しを良くする。
・衣装ケースで代用可能。
水場
・とぐろを巻いて全身が入るサイズ。ヘビは水浴びが大好きなので、大きめの水場を用意しましょう。
・100均のお皿などで代用できます。
シェルター
・ヘビがとぐろを巻いて、収まるくらいのサイズ。
・大きすぎるのはNG、高さや空間は不要、ヘビは体に密着するシェルターを好みます。
床材
・ペットシーツがおすすめ。臭いがする前に交換しましょう。
餌
・冷凍マウスが一般的。ペットショップなどでエサ用のカエルが売っていることもあります。
毒性について
もしも捕まえたカラスヘビが毒ヘビだったら・・・。毒性を見ていきましょう。
カラスヘビは色素異常により黒化した個体なので、毒を持つヘビの黒化個体ならば、当然毒ヘビになります。
人や地域により、カラスヘビは無毒である、有毒である、という認識の違いはここからきているのではないかと思います。
具体的には、「ヤマカガシ」「マムシ」「ハブ」の黒化個体(カラスヘビ)です。特にハブの幼体は、黒っぽい個体が多いため注意が必要です。
これらの毒ヘビの毒は、すべて出血毒に分類されます。
出血毒の特徴は、噛まれた場所が大きく腫れる、激痛が走る、血が止まらない、頭痛や吐き気、皮膚や筋肉が溶ける、などの症状が出ます。
もしも噛まれた場合は、できるだけ早急に病院で血清治療を受けてください。
カラスヘビの見分け方
毒ヘビに噛み付かれないためにも、カラスヘビを見分ける方法を知りましょう。
この章では、以下の5種類のヘビについて解説していきます。
- ヤマカガシ
- マムシ
- ハブ
- シマヘビ
- アオダイショウ
毒の有無を見分ける方法
知っているヘビでも体色が真っ黒な場合、種類を特定することは難しいですが、毒ヘビを見分ける簡単な方法があります。
ポイントは、鱗に「キール」があるかどうかです。
「キール」とは、鱗の中央についている盛り上がった筋で、本州の毒ヘビの場合は、全身の鱗にキールがあります。(ハブにもキールがあります)
ですので、全身の見た目、鱗、手触りが、ザラザラ・ガサガサしているカラスヘビは、高確率で毒ヘビと考えられます。
左(毒ヘビ):ヤマカガシ キールがありザラザラの質感 | 右(無毒):アオダイショウ ツルツルの質感 |
有毒なカラスヘビの特徴
遭遇率の高い毒ヘビとして、「ヤマカガシ」「マムシ」「ハブ」の3種類を解説します。※飼育は法律で禁止されています。
それぞれの特徴を見てみましょう。
ヤマカガシ | マムシ | ハブ(ホンハブ) | |
大 き さ | 体長70㎝〜150㎝ 太く短いずんぐりした体形 | 体長40㎝〜70㎝ 太く短いずんぐりした体形 | 体長100㎝〜200㎝ 細く長い体形 |
生 息 地 | 低山地から平地の、水田、湿地など、水辺に多く生息 | 山地や森林の、倒木、岩など物陰に隠れている 気温が高いときは、沢など涼しい場所に現れる | 主に奄美諸島、沖縄諸島に分布。本州には生息していない 山地から民家の庭まで、幅広い地域に生息 |
頭 の 形 | 頭は四角張った楕円形 | 頭は丸みを帯びた三角形 | 頭は横幅があり、三角形〜ハート型 |
特 徴 | 全身にキールがある 泳ぎが得意で、カエルが好物、魚も食べる | 全身にキールがある 目と鼻の間にピット器官という穴があり、熱を感知して獲物を判別する | 全身にキールがあり、目と鼻の間にピット器官がある |
性 格 | おとなしい性格の個体が多い 人を見ると逃げていく | 気性は荒いが、自ら近づいてくることはない 隠れるのが上手で、気づかずに近づいて噛まれることが多い | 気性が荒く、動きが俊敏で、感覚も鋭い 大きさの割に隠れるのが上手で、気づかずに近づいて噛まれることがある |
毒 性 | 奥歯の毒牙に要注意、マムシの3倍の強さがある 後頭部に毒腺があり、首などをつかむと毒を分泌する | 嚙み付くスピードが非常に早く、ハブよりも毒性が強い 山地などに生息するため、病院が遠い場合が多く注意が必要 | 年間死者数が最も多い毒ヘビだが、意外に毒性は強くない しかし、牙が長く、毒の量が多いため、毒牙が深く刺さると大変危険 大型のため射程距離が長く、近づくだけでも危険 |
無毒なカラスヘビの特徴
無毒なカラスヘビは飼育する可能です。
カラスヘビのほとんどは、シマヘビの黒化個体と言われていますが、まれにアオダイショウの黒化個体も見つかっています。
無毒なカラスヘビとして、「シマヘビ」と「アオダイショウ」の特徴を見ていきましょう。
シマヘビ | アオダイショウ | |
大 き さ | 80㎝〜150㎝ | 110㎝〜200㎝ |
生 息 地 | 山地から平地の、田んぼや小川 | 水田、草むら、河川敷、民家の天井裏など |
頭 の形 | やや台形の楕円形 | 丸みを帯びた長方形 |
特 徴 | 俊敏で逃げ足が速い ヘビを狙って食べる「ヘビ食い」だが、一番の好物はカエル | 捕まえると、肛門付近から悪臭のする液体を分泌する 木登りが得意で、大人になると鳥やネズミを積極的に捕食する 締めつける力が強く、獲物を絞め殺してから食べる |
性 格 | 気性が荒く、神経質 尻尾で地面をたたいたり、嚙み付いたりなど、威嚇行動をすることがある | 温和でおとなしい個体が多いが、地域差や個体差が大きい |
どうしても手に入れたい場合
カラスヘビはその色合いと希少性から、「ペットにして飼育したい!」と思う方も多いでしょう。
そんな場合は、黒い蛇の中でも絶大な人気をもつ、「メキシカンブラックキングスネーク」をおすすめします。
こちらは海外の品種ですが、艶のある真っ黒な体色が特徴で、ストレス耐性が高く、餌への執着が強いため拒食症を発症するリスクも低いなど非常に飼いやすい品種です。
しかしながら、今回の主役は「カラスヘビ」ですので、解説は割愛いたします。・・・ごめんなさい。
まとめ
お疲れさまでした。これまでの内容を簡単にまとめました。
カラスヘビの正体・・・日本に生息するヘビの、一部の個体が色素異常により黒化したものの総称
カラスヘビの種類・・・シマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシ、マムシ、ハブ、など
毒性・・・毒ヘビの黒化個体の場合、有毒なカラスヘビとなる
飼育方法・・・毎日の水交換と、3日に1回のエサやり、1週間〜2週間に1回の床材取り換え
有毒、無毒を見分ける方法・・・全身のキールを確認する、頭の形を確認する
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長文にもかかわらず、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
私はカラスヘビにあこがれ、子供時代に山野を駆け回りましたが、探すとなかなか出てこないものです。
この記事がほんの少しでも、あなたのお役に立てれば幸いです。