人間は【熊】に勝てるのか?!骨格から分析する熊の【強さと弱点】
こんにちは! 館長のゆるとです!
あなたは「クマ」といえば何を想像しますか?
「人間とクマが戦ったらどうなるのか?」「弱点はあるのか?」「そもそもクマってどのくらい強いの?」など、クマの骨格を中心に戦闘能力を分析して、人間はクマに勝てるのか?考察していきたいと思います。
誤解しないで頂きたいのですが、記事の目的は「身を守るための考察」であり、いたずらにクマを狩るためではありません。
山歩きやキャンプなど、自然を楽しむための「備え」として少しでもお役に立てればと思っています。
それではいってみましょう!
実力は五分五分?!
勝率はクマの生態データの他に、実際のクマ狩りの様子、クマによる人身被害データ、クマと戦って生還した方々の写真、などの情報を集めて考察しました。
もちろん人間側はライフルなどの「銃火器」を持ち、扱いに慣れていることが前提です。
生還した方々の写真を拝見した時は、「絶対にクマには出会いたくないし、森にも入りたくない・・・」と感じました。
一方でクマ狩りの様子は淡々としており、人身被害件数は多いものの、全国の年間死者数は約3名に止まっています(令和2年度までのデータ)。
クマによる人身被害データについては、こちらの環境省のページから引用しています。
「勝敗」の観点から情報をまとめ、以下の様に分析して考察しました。
- 人間は銃火器があれば距離を選ばず致命傷を与えられる
- クマの攻撃を一撃でも食らえば重傷を負う
- クマの一撃を耐えられれば、人間にも勝機がある
・・・・でも一般人は「銃火器」なんて持ってないし、足場の不安定な山道で襲われたら圧倒的に不利です。
それではどうしたら攻略できるのか?
まずはクマの「強みと弱点」を探りましょう。
クマの基本スペック
日本のクマは、ヒグマとツキノワグマの2種類が生息しています。
ヒグマ | ツキノワグマ | |
生息地 | 北海道のみ | 主に本州(千葉県・九州・沖縄にはいない) |
身長 | 180cm~230cm | 110cm~180cm |
体重 | 150kg~250kg | 80kg~120kg |
体色 | 赤身を帯びた茶色が代表的だが、黒や灰色などカラーバリエーションは豊富 | 黒い体色と胸の白い三日月模様が特徴。白い模様がない個体もいる |
寿命 | 野生下では20年ほど | 野生下では15~20年 |
クマの骨格を分析
それではクマの骨格から攻略法を探していきましょう!
骨から分かること
生き物の骨からは、エサの種類、歩き方、年齢など多くの情報を得ることができます。
例えば人間の足の骨は指先とカカトが地面につく構造で、馬などと比べて足の裏の面積が大きく安定した二足歩行ができることが分かります。
一方で馬の足の骨はカカトが地面から離れていて、つま先立ちの様な骨格になっています。
足の裏の面積は少ないですが、長くしなやかな足は走ることに特化していることが分かります。
人間とクマは似ている?
クマの骨を観察すると、人間に近いパーツが意外に多いことに気が付きます。
共通する骨格の中でも、特に重要な3ヵ所について解説します。
鎖骨の存在・・・サルやゴリラの様な動物にみられる特徴で、上半身の筋肉の発達と、前足を器用に動かせることが分かる。
前足の骨格・・・前足の指は5本あり、長さや全体のバランスから、人間の様にものを掴んだり、引っ張ったりできる。
足の骨格・・・カカトが地面につく構造で足の裏の面積が広く、安定して立ち上がることができる。
クマの頭骨
人間の場合、「頭部」のほとんどが急所であることは簡単に想像できますね。
クマの場合はどうなのか?頭骨を見てみましょう。
歯の形・・・鋭い牙と平べったい奥歯があり、人間と同じ雑食である。
ほほの骨・・・大きく突き出ているのは筋肉量が多い証拠で、噛む力が非常に強いことが分かる。
鼻の穴の大きさ・・・大きく長い鼻は犬の骨格と似ていて、嗅覚がとても優れている。
頭蓋骨・・・ぶ厚く丈夫な作りで、脳の位置も奥まった場所にあり、頭部への攻撃はほとんど効果がない。
分析結果から弱点を考察
お疲れさまでした。分析は終わりです。
クマは骨格から、「特に上半身の筋肉量が多く発達、前足が器用、鼻がとても良い、噛む力が非常に強い」と分かりました。
また、クマが闘う時は、前足の攻撃と噛み付きを多用して、強烈な攻撃を繰り出すと予想できます。
肝心の弱点についてですが、人間が素手でダメージを与えるのは不可能でしょう。
しかし、出血させられる武器があれば、わずかながら勝機がありそうです。
クマの弱点と倒す方法は、喉元の動脈を狙って出血させることです。
クマと人間の体が似ている点を想像すると分かり易いのではないでしょうか。
下あごから首の付け根にかけては筋肉量が少なく骨もありませんし、喉元は動脈が集中している急所です。
猟師の方は、血抜きのために槍を使って獣に止めを刺すことがあります。
キャンプを楽しむためのアイテムとして、アウトドアナイフや剣鉈などであれば一般人でも入手可能です。
工夫すれば槍を作ることもできるでしょう。
クマとの闘いをシミュレーション
弱点と攻略法はなんとなく分かりました。
実際にクマと戦ったらどうなるのか検証してみましょう。
クマとの距離は10メートル、森の平らな地形、人間は身長170cmの成人男性で槍を構えている、こちらに向かってクマは4足歩行で突進してきます。
ところで、4足歩行のように動物が通常の生活をしている姿勢の高さを「体高」といいます。
体高は、ヒグマで70cm~150cmほど。仮に体高が100cmとすると、クマの頭はだいたい人間のおへその高さになります。
4足歩行のクマに対して、人間の目線は見下ろす形になります。
つまり、攻撃できる場所が、最も防御力の高い背中と頭だけしかないということです。
ちなみにクマは100mを約7.2秒で走れるので、かなりのスピードで接近してきます。
そして最悪の状況として、茂みの中から突然現れたり足場の悪いところで突進されたり、となれば完全にチェックメイトです。
これは・・・・別の作戦を考える必要があります。
フィジカル以上に重要な「索敵能力」
漢字を見るとなんだか難しそうですが、一言で表すと「見つけるのが上手」な能力です。
「索敵能力」は、遊びや日常生活をもっと楽しくするスキルでもあり、考え方を知っているだけで大きな効果があります。
索敵の必要性
突然ですが、あなたも一度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
しゃがんだ体勢から立ち上がろうとして、タンスなどに頭を強打、かなり痛いですよね。
原因は、頭の上にタンスがあると思わなかったから、です。
最初から分かっていれば簡単に避けることができます。
しかし、もしもタンスがカーテンの裏に隠れていて、殺意をこめて、急所を狙って倒れて来たら・・・・痛いでは済まなそうです。
まったくもって状況が謎すぎますが、カーテンに隠れていても、タンスの位置が分かっていればカーテンの動きや物音で異変に気が付くはずです。
タンスならまだいいですが、これがクマだったとしたら完全にアウトです。
危険を回避するためにも、索敵能力で相手の情報を集めることには重要な意味があります。
やることは2つだけ
索敵能力については難しく考えなくとも大丈夫です。
やることはシンプルで、①始めに情報を集める(周囲の音、足跡、などの痕跡を見つける)②その情報をもとに相手の状態を想像する、以上です。
情報量ではなく、大切なのは想像することです。
いつもと少し考え方を変えることで、多くのヒントを見つけることができます。
実際にクマを索敵する方法
クマについて索敵するポイントと、分かることを簡単にまとめました。
なんとなくでも、注目する場所が分かれば十分です。
クマの出没、目撃情報・・・・山中でクマに遭遇する確率、クマの大きさ、性格、大まかな数、などが分かる。
季節・・・・春夏秋冬でクマの危険度、行動が変わるので、行動範囲、出現場所、凶暴性、体重、群れやすい場所、などの予測ができる。
山や森の音、匂い・・・・クマの気配、クマとの距離、クマが人間に気づいているか、クマが威嚇しているか、などが分かる。
木の様子・・・・クマの縄張りや、木の場所にクマが現れる頻度が、枝の折れ方、枯れ方、爪痕から分かる。ごく稀に木の上でクマが見ている場合がある。
クマのフン・・・・エサは何か、クマの大きさ、健康状態、食事する場所、などが分かる
足跡・・・・クマの身長、何時間前に通ったか、走ったか、エサを探していたか、などが分かる。
けっこう長文になりましたが、すべて覚えなくとも大丈夫です。
重要なのは、見つけた情報から想像を膨らませることです。
季節に応じたクマの行動パターンや出没情報などは、森に入らなくとも多くのことが分かります。
例えば、「今の時期はタケノコのシーズンだから、竹林の近くにクマがいるかもしれない」など想像できれば、ある程度の対策ができます。
一般人でもクマに勝てるか?の結論
索敵能力が手に入れば地形や罠を利用するなどの対策ができ、勝率も高くなりますが、「そもそもクマの痕跡なんて分からないし、槍で勝てる気がしない!」なんて声が聞こえてきそうです。
ではどうすればいいのか?結論は、
「クマを倒すのは難しいが、被害を最小限にすることはできる」です。
がっかりしたかもしれませんが、仮にクマを倒したとしても、瀕死の重傷を負っては意味がありません。
一番大切なことは「五体満足で生きて帰ること」で、そのために必要なのは「緊急時でも冷静な判断力がある」です。
人間は突然災害が発生した時、約90%の人がパニックで思考停止する、という研究データがあります。
例えライフルを持っていても、パニック状態ではまともにクマと渡り合うことはできません。
落ち着いて行動するコツは、何となく危険を予想しておくことです。
危険に備えておけば、被害を最小限にする判断ができます。
まとめ
「クマの行動を予想して、緊急時に身を守れる準備をする」これが最終的な結論です。
これまでに考察した内容を5つにまとめました。
- クマは上半身が発達しており、噛み付きと前足の攻撃を多用する
- クマの弱点は喉元だが、突発的な戦闘で狙うこと自体が難しい
- 一番大切なのは勝敗ではなく、「五体満足で帰ること」
- 森の様子から危険を予想することで冷静な判断ができ、備えがあれば被害を最小限にできる
- 森に入る前でも、現地のクマについて多くの情報が分かるので、大まかな対策ができる。
備え、とか対策、なんて聞くと「お金がかかりそうだし道具をそろえるのは大変」と感じるかもしれませんが、イメージするだけでも備えになります。
クマについて調べていると、いつの間にか山や森の知識も増えてゆくので、自然を楽しむ「備え」としてもクマの情報を調べてみてはいかがでしょうか。
この記事が、少しでも熊対策に役立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。