実は意外なメリットが!お庭の「モグラっち」と共存できるか考えてみた。
こんにちは! 館長のゆるとです!
モグラが現れて、お庭がボコボコに・・・。
でも、
- 退治するのは大変
- お金もかかりそう
- やんわりとお引き取り願いたい
なんて感じる方も少なくありません。
この記事では、お庭にモグラがいる「メリット」や「デメリット」を解説。
楽しくガーデニングするためのヒントとして、「モグラとの付き合い方」を考えてみました。
それではいってみましょう!
モグラの特徴
知っているようであんまり知らない「モグラ」の基本情報を見ていきましょう。
モグラとは?
- 犬や猫と同じ哺乳類の仲間
- 寿命は4年くらい
- 北海道以外の日本全国に生息
- 一年中エサを探して活動。冬眠はしない
- 大きさは「12cm~18cm」、体重「48g~175g」ほど
- 生息地域によって大きさと体重が2倍ほど違う
- 臭いや振動にとても敏感。目はほとんど見えない
植物は食べない
モグラは庭や畑を荒らすイメージがありますが、意外に植物は食べない肉食動物です。
エサは、ミミズや土の中の虫などを主食にしています。
野菜や草花を食べている真犯人は、ネズミです。
モグラも全く無関係ではありませんが、詳しい説明はモグラのメリット・デメリットを見てみましょう。
モグラがいるメリット・デメリット
お庭にいたずらをするモグラですが、いいところもあります。
メリット
- ネキリムシなど、土の中の害虫を食べてくれる
- 多くの土壌菌を運んでくれる
- 縄張り意識が強く、他のモグラを追い払う
- 自然界では森林の健康を維持する大きな役割を持っている
デメリット
- トンネルを掘る時に、花や野菜の根を傷つける
- 土の中に空洞ができることで、根が乾燥して枯れてしまう
- モグラの掘ったトンネルをネズミが通路として利用し、野菜などを食べにくる
- コンポストたい肥作りで利用する、ミミズが食べられてしまう
メリット・デメリットを比べると、デメリットのほうが大きいような気がしますね・・・・。
しかし、モグラが現れたことはお庭の健康状態を確かめるヒントになります。
「お庭の健康状態」で対策が変わる?!
お庭の健康、つまり土の健康状態によってモグラ対策の難易度や方法が違ってきます。
しつこくモグラが現れる「本当の理由」
お庭の健康チェックをする前に、少しモグラの事情を知る必要があります。
色々な対策をしてもモグラがいなくならない原因は、「お庭にエサがたくさんあるから」です。
当たり前じゃないか! と聞こえてきそうですがもう少しお付き合いください。
モグラは代謝が高く運動量も多いため、たくさん食べないと餓死してしまうんです。
そんな事情もあり、モグラは1食あたり体重の半分以上もエサを食べるほど大食いです。
ちなみにモグラは1日に3回食事するので、体重が100gだった場合、約150g以上のエサが必要になります。
ミミズに置き換えると、1匹の重さが約0.4gほどなので1日に375匹のミミズが必要になります。
ミミズの大きさにもよりますが、これだけの量を毎日確保しないと死んでしまうのですから、多少身の危険があっても諦めない気持ちが分かります。
お庭の健康状態とモグラの関係
モグラの主食は土の中のミミズや虫ですが、「ミミズや虫が多い土」つまりモグラのエサがたくさんある土とは、腐った有機物を分解している最中の「未熟な土」といえます。
未熟な土はシマミミズ・イモムシ・線虫・カビなどが多く病害虫が発生しやすい特徴があるので、お庭の健康状態は「あまり良くない」といえるでしょう。
ミミズがいる土は良い土、と聞きいたことがある方は多いのではないでしょうか。
しかし良い土にいるのは「フトミミズ」という種類で、体長10cm以上に育つ大型のミミズです。
フトミミズは分解が終わり「完熟した土」に含まれる豊富な微生物をエサにしていて、土の栄養素を植物が吸収しやすい状態にする、土を耕し通気性の良い柔らかい土質にする、などの働きをします。
このフトミミズが多いお庭は、病害虫の少ない「健康的なお庭」です。
シマミミズ・フトミミズの写真
左:シマミミズ 右:フトミミズ
お庭の健康状態と、モグラ対策
もしもあなたのお庭に、シマミミズ、土の中のイモムシなどが多いとすれば、「不健康なお庭」といえます。
モグラは常に腹ペコなため、エサがたくさんある「不健康なお庭」であれば、本格的なモグラ対策が必要です。
具体的には、モグラトラップや落とし穴など本格的にモグラを駆除する対策と、野菜や花の病害虫対策を合わせて行う必要があります。
一方でフトミミズが多く、土の中に虫が少ないお庭は「健康的なお庭」です。
「健康的なお庭」はモグラにとってエサの少ない場所になるので、モグラ対策も比較的楽になり、共存できる可能性もあります。
ちなみに、葉っぱの上にいるイモムシや害虫については、割愛します。
※シマミミズについて補足
誤解のないように補足説明します。
シマミミズが多い土は、野菜や花を植えるのに適さない土、という意味です。
シマミミズ自体は無害であり、コンポストたい肥作りでは大活躍してくれます。
お庭の土を良くするには?
花や野菜を育てる時に一番大事なことは、長く元気な根っこを育てることです。
元気な根っこを伸ばすためには、「土作りが基本」になります。
ちなみに土作りとは、ミミズや微生物が耕して豊かにした土を、人工的に再現する作業です。
具体的には、「水はけ・通気性が良い団粒構造の、ふかふかの土」を作る作業です。
土作りをミミズに任せる場合、年単位の時間がかかってしまうので、時間短縮のために用土やたい肥を使います。
有機物が多い土が良いとされますが、ミミズや微生物が好む「健康的な土」とは、植物性の完熟した有機物が多い土です。
植物性の完熟した土の特徴は、主に以下の3つです。
- 嫌な臭いがしない
- 落ち葉などの原型がなくポロポロ崩れる
- 手で握ってもベタベタしない
植物性の土は養分が少ないのですが、養分は少ないほうが野菜や花は長く根っこを伸ばします。
そして根っこを伸ばすためにはふかふかの柔らかい土が必要で、長く伸びた根っこを健康に保つために水はけと通気性の良い土が最適です。
完熟した土には微生物がたくさん住み付き、ミミズが微生物を食べながらトンネルを掘ることで、通気性の良い柔らかい土が出来上がります。
モグラの出番を忘れていました。
モフモフしたモグラの体毛には、多くの土壌菌や微生物が付着していて、トンネルを掘りながら広範囲に微生物を運んでいます。
つまりモグラがトンネルを掘ることが、自然界では土作りになっているのです。
話の流れから肥料が必要ない雰囲気ですが、野菜などの成長に合わせて肥料を使うのは良いことです。
根っこを伸ばしつつ施肥する方法は、土の深い場所に肥料を仕込むなど多くのやり方があるので、今回は省略します。
モグラとの付き合い方を考える
モグラ対策を見ていきましょう。
共存するか、駆除するか、を選択
お庭の土の健康状態やご家庭の事情などは様々ですので、状況に合わせて共存するか、駆除するかを選択しなければなりません。
モグラと共存を考えるなら、人間との「棲み分け」が最も現実的です。
具体的な「棲み分け」方法
棲み分ける方法は、お庭のすみっこにモグラのエサ場を作ってあげて、野菜や花から離れたところに誘導するイメージです。
理想的な環境は、フトミミズが多く土の中の害虫が少ない「健康的なお庭」で、小さくてもいいのでコンポストが設置できる場所があればベストです。
「棲み分け」の流れを説明します。
始めに、モグラが侵入した穴から近い場所で、野菜や花から遠い場所にコンポストを設置、枯れた花・野菜を入れて「エサ場」を作ります。
仕上げに、エサ場に向かうモグラの通路を決めます。
通路を決めたら、モグラがはみ出さないように、野菜や花の周りに木酢液や炭などモグラが嫌う臭いの「忌避剤」を使用。
この通路が人間との境界線になります。
生き物が相手なので簡単にいかないこともありますが、棲み分けのポイントは簡単にエサが食べられる場所と、危険な場所をはっきりさせることです。
おすすめの方法は、1日に何度もお庭を歩き回り、こまめにお庭の手入れをすることです。
人間が歩く場所は土が硬くなり掘りづらく頻繁に振動が伝わるため、モグラは危険を感じて近寄らなくなります。
「駆除」するのは悪いことではない
棲み分ける方法は被害を出さない、とは言えませんし、モグラのトンネルを利用してネズミが現れるなど二次災害のリスクもあります。
確実なのは「モグラの駆除」です。
モグラの駆除にも多くの方法がありますが、安定感があるのはトラップで、基本的にモグラが頻繁に移動する「本道」に仕掛けます。
トラップについては形や種類より、人間の臭いを消すことが成功に大きく影響します。
モグラは非常に鼻が良く、土の中でも左右のどちらにエサがあるかかぎ分けることができます。
前準備として数日前から軍手やトラップを畑に埋めて匂いを消し、柔軟剤や香りの強い洗剤など服や体につく匂いにも注意します。
当日は素手に土を付けて手の匂いを消してから軍手やトラップを掘り出し、モグラの本道に仕掛けるなど人の気配に気づかれないことが重要です。
注意点として、モグラを捕まえたり傷つけたりすることは鳥獣保護法で禁止されています。
例外として、農業や林業を仕事にしている場合は必要に応じて駆除することが認められています。
鳥獣保護法について、詳しくはこちらの環境省のページをご確認ください。
実は大切な「秋・冬」のお庭管理
このパートは簡潔に説明します。
モグラやネズミからお庭を守るためには、「秋・冬」の後片付けが重要です。
モグラやネズミは冬眠しないので、収穫しなかった野菜や枯れた花などが貴重な食料になり、冬の間にお庭に住み付いてしまいます。
結果として、春のお庭にはすでに害獣がスタンバイ、野菜や花を植えることはエサをあげるのと同じことになります。
まとめ
・病害虫の少ない「健康的なお庭」はモグラのエサが少なく、人と棲み分けることでモグラと共存できる。
・モグラと共存するメリットは、ネキリムシなどの害虫を食べてくれる、豊富な土壌菌を運んでくれる、他のモグラを追い払ってくれる。
・モグラがお庭にいるデメリットは、穴を掘る時に花の根を傷つける、トンネルの周りの土が乾燥し花が枯れてしまう、モグラの掘ったトンネルをネズミが利用してお庭に現れる。
・モグラを駆除する場合はトラップが有効。人間の臭いを消すことが成功のポイント。
最後に、モグラがトンネルを掘った後には元気な雑草が生えます。
きっとガーデニングにも活かせるはずと思い、この記事を書きました。
この記事が楽しいガーデニングのヒントになれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。